「非認知能力」とは?子どもの可能性を引き出す9つの言葉


最近、幼児教育の論議の中でも「非認知能力」という聞きなれない言葉をひんぱんに耳にするようになりました。

教育専門家の多くが、「この能力こそが大切だ!」と力説しています。

文部科学省の新学習指導要領(幼稚園平成30年、小学校平成32年施行分)にも知識及び技能,思考力・判断力・表現力等と合わせて、「非認知能力」にあたる学びに向かう力,人間性等が教育の柱のひとつとして明記されました。
(参考サイト:文部科学省 学習指導要領「生きる力」こちら   文部科学省による教育要領改正のPDFこちら

筆者自身この言葉に出会ったのは、ハーバード大学にて大学院教授による幼児教育の講義を受けに行った際でした。
共に受講した幼稚園や保育園の経営者の方々と今後の教育の方向性を討議する中で、「非認知能力」こそ今後の子どもたちに必要な能力だ、という話題になったのです。

そこでは、非認知能力は「幼児期にどういう言葉をかけるかが重要」で、言葉次第でお子さまのその後の人生が大きく変わる、という結論にいたりました。

では一体、この「非認知能力」とは何を意味し、どういう声かけをすれば良いのでしょう?

「非認知能力」がなぜ注目されるようになったのか、そしてこの能力を引き出し伸ばす「声かけ」の9つのコツを紹介していきます。

1. 「非認知能力」とは?

「非認知能力」は、「認知能力」に対比される言葉です。

まず「認知できる能力」とは、数値化できる能力、つまり「IQ(知能指数)」を指します。

そして「非認知能力」とは、IQなどのように数値化できる能力ではなく、数値で測ることのできない「内面的な能力」を指します。

例えば、「やる気」、「最後までやり抜く気概」、「リーダーシップの力」、「協調性」などです。

よく「IQ」と対比される言葉として「EQ」をよく耳にしませんでしたか?

この「EQ」とは「心の知能指数」のことで、具体的には自己認識、感情の自己抑制、共感力、意欲などを指しますが、

実はほかにもこれに付随した言葉があります。

  • SQ(Social Quotient)        : 社会的知能、精神的知能
  • AQ(Adversity Quotient)    逆境指数
  • MQ(Moral Quotient)     : 道徳性知能
  • CQ(Creative Quotient)  : 創造性知能

つまり、EQを始めとした上記すべてが「非認知能力」と呼ばれる能力なのですね。

この「非認知能力」という言葉のパイオニアは、ジェームズ・ヘックマンという、2000年にノーベル経済学賞を受賞した教育経済学者です。

彼は40年以上にも渡る追跡調査を伴う研究結果を「幼児教育の経済学」という書籍の中に表しています。

彼は上記書籍の中で「非認知能力」を「社会的・情動的性質」、具体的には

  • 肉体的・精神的健康、
  • 根気強さ、
  • 注意深さ、
  • 意欲、
  • 自信、
  • 長期的計画を実行する能力、
  • 他人との協働に必要な社会的・感情的制御
    と言っています。(p11、p17)

そのほか、さまざまな学者がこの能力を分析・分類しています。

ここでわかりやすくまとめてみると、

1 目標達成において 「やる気がある」
2 「忍耐強い」「自己抑制力がある」
3 「情熱や意志を長期的に維持できる」
4 「創造性がある」
5 社会性において 「リーダーシップがある」「コミュニケーション能力がある」
6 自分自身の状況を理解する能力がある」「協調性がある」
7 「誠実さ・思いやりがある」「道徳心を身につけている」
8 自己確立において 「自信を持って行動できる」「自尊心がある」
9  「逆境に強い」

と要約できるでしょう。

2.「非認知能力」を伸ばさないとどうなるの?

ヘックマンは経済学者として、幼児期の教育が「将来の収入や経済活動にどのように影響しているか」を研究しました。

彼の研究結果を要約すると、
IQが高く勉強はできたとしても、必ずしも社会で活躍・貢献し収入が高く安定した生活を送るわけではないこと。
むしろIQではなく、数値化できない非認知能力を伸ばすことこそが成人してからの仕事などの成功、高収入に結びついているのではないか、というのです。

今や先進諸国の間では、「いかにこの非認知能力を伸ばすか」ということに教育の比重が移っていることを見逃すことはできないでしょう。

ですから、日本の文部科学省の新しい学習指導要領でも「非認知能力」にあたる内容が加えられ、注目されているのです。

では、幼児期の子どもたちに対し、具体的にどう取り組めばよいでしょうか?

上記のまとめの表をわかりやすく置き換えてみましょう。

3.  子どもの「非認知能力」を伸ばす9つの「声かけ」!

3-1)「いいねそれ!」「お母さんと一緒にやってみよう!!」

「やってみたい!」という子どもの気持ちを大切にしてお子さまの「やる気」を育てる

子どもは本来、好奇心のかたまり! いろいろなことに興味を示します。

しかし大人は「今はそれをやる時間ではない」などという大人の都合でその「やる気」の芽をつんでしまうことがままあります。

そうすると、だんだん子どもも萎縮してやる気を失い、さらには親の目を伺いながら行動するようになってしまいます。

できるだけ子どもの「やる気」に付き合ってあげましょう。

3-2) 「こうすればできるんじゃない?」「○○ちゃんならできる!」

興味を示したことを最後までやり抜く手伝いをして、「忍耐力・自己抑制力」をつける

せっかく興味が湧くことを見つけて取り組み始めても、元来子どもは飽きっぽく、うまくいかないことに突き当たるとそこですぐに興味を失ってしまうこともままあります。

そこで、周りの人がやり始めたことに対して達成感を味わえるような気配りや手伝いをしてあげることで集中力が維持できます。

そしてそれを繰り返すことで、「忍耐力」「自己抑制の力」がついていきます。

3-3)「上手にできたね!」「これやってみない?」

好きなことを長く続けていく環境を整えて、「情熱や意志」が続くよう声かけする

子どもの興味を持続させるにはコツがあります。

例えば、動物の「図鑑」に興味を持ち始めたら、それに関連した別の絵本を図書館で借りて興味の幅を広げてあげたり、動物園に行って実際の動物に触れるなど、

好きなことをどんどん広げていって「情熱・意志を長期的に維持」できる環境を整えてあげましょう。

3-4)「○○つくるの、おもしろそう!」

思う存分何かを創って、「創造性」を育む

子どもの創造性は無限!

お絵かきをしたり、トイレットペーパーの芯でロボットを造ったり!

さまざまに工夫して独創的なものをつくる機会を作りましょう。子どもの「ひらめき」が磨かれ、発想力も増しますね。

3-5)「どうしてケンカになっちゃったのかな?」

お友だちとケンカをしないで、「リーダーシップ・コミュニケーション力」をつける

リーダーシップ力」を育てるには、まずお友だちと楽しく遊び、上手に付き合うことから始まります。

そして子どもたちの小さな社会の中でみんなが気持ちよく過ごす気配りができるようになると、みんなの意見をまとめる「リーターシップ力」がだんだん身についてきますね。

3-6)「今、ほかの人は何をしているかな?

ときには、周りの人が今何をしているかを聞いて「状況の理解力・協調性」を身につける

子どもは往々にして自分のことだけしか見えてないことがあります。

「社会性」を身につける上で、時と場合に応じて「自分自身の状況を理解」して周りの人と同じ行動を取る時間であることを少しずつ学んでいくことも必要です。

周りの人に迷惑をかけない「協調性」も身につけられるようにしましょう。

3-7)「○○ちゃんはどう思っているかな?」

お友だちがどう思っているかを話し合い、「誠実で思いやりのある気持ち」を育てよう

「誠実さ・思いやり」さらに「道徳心」身につけるには、まず周りの人の行動や思いを理解することです。

そうすることで相手への誠実な思いや親切な行動ができ、ひいては「道徳心」といったモラルも身につくようになります。

3-8)「ダメ!」「早くしなさい!」などの声かけはタブー

否定的な表現や命令の言葉はお子さまに使わないように心がけ、「自信・自尊心」を育む

子どもは周りの人から認められ、ひとりの大切な「人間」として日々接してもらっている中で少しずつ「自信」「自尊心」が培われてくるものです。

つい叱ってしまうことが多くなりがちですが、叱るときは、危険が迫っている場合、あるいは人に迷惑をかけるときなど、命に関わることや道徳に反することなど、ルールを決めるといいと思います。

それ以外はなるべく温かく見守る言葉を使っていきたいものです。

そうすることによって、自己確立においての「自信」「自尊心」が芽生えてきますね。

3-9)「大丈夫!」「がんばったね!」

自分の思うようにいかなかったことがあっても、また次にがんばる「逆境力」をつける

「立ち直る力」「周りの環境に適応する能力」、ひいては「逆境でもめげない力」もまた大切です。

子どもが落ち込んでいる時には、次へのチャレンジが湧くよう応援してあげましょう!

まとめ

いかがでしたか?

もちろん、文部科学省の新学習指導要領にもあったように、まず知識や技能が大切であり、また考える力を身につけることにも力を入れた上で、「非認知能力」も大切であると言っています。

ですから、今までのように「IQだけ」、「考える力だけ」を伸ばすのではなく、それらを活かすためにも「非認知能力」も育てよう!ということなのですね。

そのためには上記以外でも、例えば情操教育に力を入れたり、日本や世界の伝統文化に触れたりすることもいいですし、

もっとかんたんにできることとしては、日々のお散歩で四季折々の景色を楽しんだり、おもしろそうなイベントに参加してみたりして、身近なところから心豊かになるような環境を作り好奇心を刺激することでも、「非認知能力」を高めるヒントはありそうです!

ノーベル経済学賞を受賞したヘックマン博士の半世紀にも渡る研究を生かして、「非認知能力」も共に高めていきましょう!

  (文責:あい・ん編集部 吉田早麻)

 

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「「非認知能力」とは?子どもの可能性を引き出す9つの言葉」への1件のフィードバック

  1. 澤内 隆(一般社団法人 東京都レクリエーション協会副会長、イベント学会理事) より:

    「非認知能力」を伸ばすためには9のコツをどう親が理解し、どう子どもに伝えるかです。そのためには楽しく伝えるというスキルが大切だと思います。レクリエーション的楽伝スキルを身につけることこそが解決の糸口になるでしょう。具体的には発問のゲーム化、クイズ化、パズル化です。行動心理学や行動デザイン学も必要でしょう!

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